1/30/2009

憧れのぽっくり







 「いちまさんにぽっくりを履かせたら、どんなに可愛いだろう・・・!」


人形を作り始めた頃は、小さな足袋を履かせただけで十分満足していたはずだったのに、人形に向かう時間が長くなるほどに、次々といろんな願望がむくむくと湧き出てくるものです。

そんな、ちっぽけに見えるけれども、密かに熱い想いを叶えてくれるのは、やはり人との縁だったりします。



初めてW氏の工房にお邪魔した一昨年の夏、市松人形の筥迫とともに、「もしかしたら・・・」と、ぽっくりのことも相談してみました。

すると奥から、
「僕の先生の形見なんです。」と出してこられた箱の中には、なんと可愛らしいぽっくり達が!
大きさも、まさに人形サイズ!ただただ、見とれるばかりでした・・・。


その大切な思い出深いものを先日、今回の展覧会のお祝いに・・・と、中でも一番良いものを選んで、一つ分けて下さいました。

(もらっていいのだろうか・・・大切な形見を、私なんかが・・・・・・)そう心では逡巡しながらも、両手はしっかりと差し出していた私(恥)。


この可愛らしいぽっくりは、職人さんが手がけられた(そしてその小ささゆえに職人泣かせだったという)、縮緬の鼻緒がつけられていて、W氏によって描かれた金の梅の花が、なんとも古めかしい華やかさを醸し出しています。

そして裏に返して見ると、対の証である「に」の文字が・・・こういうところが、本当に素朴で愛らしいですね。


早速、ちょうどのサイズの人形に履かせてパチリ。
嬉しくて、誇らしげに少し胸を張ったいちまさん。足袋は今日縫ってやります。