8/25/2011

Time for Tea


三度の食事も大切ですが、
それより嬉しいのが、日々のお茶の時間。
秋の気配が漂いだすと、ポットにたっぷり蒸らしたお茶と
素朴な焼き菓子が食べたくなります。

珈琲なら、苦めに濃く淹れたものを、暖かいカフェ・オ・レにするのが好きです。

紅茶は、気分を変えたい時はフレーバーティーもいいですが、
私の好みでは、
ミルクティーと相性の良いウバ系か、
日常的には イングリッシュブレックファーストのような
日本で云うならば番茶のような位置づけのものが気軽だし、
美味しい気がします。
コツは、少し心に余裕を持って
ゆっくりと淹れる・・・
それが、お茶の時間を楽しむ基本。
どんなに高級な茶葉を使っても、心が波立っていては
満喫することは出来ないでしょうから、
まずは心静めて穏やかに。


ティーコゼーは、あるだけでテーブルが華やかになるので
必ず使いますが、
我が家にはたくさん手作りしたものが引き出しにしまってあるので
ポットやお茶の種類によって、楽しめます。
ティーカップを新調するのは、ちょっと大変ですが、
ティーコゼーをいくつか持つのは、これも気分転換で楽しいもの。


本の中に、 お茶の描写の場面を見つけると、
途端に心躍るのは、私だけではないのでは?と思います。

そして、日本の番茶を淹れる美しい描写をひとつ、ご紹介。




「お茶、あつくしましょうよ。」
「あぁ、いまそういおうとしてたんだ。」
佐吉は、今でも焙じて売っているお茶を使わせない。
いまではもう、茶煎じも姿を消しているご時勢なので、わざわざ注文して作らせ、
客用にも家内用にもその都度に 焙じさせている。
茶だんすへ立ったついでに、みると一時を半分まわっていた。
真夜中だな、と思いつつ、茶筒の蓋を抜く。
蓋はいい手応えで抜けてくる。
こんな些細な缶一つでも、蓋のしまり加減が選まれていた。
茶焙じに茶をうつし、火にかざして揺すると、
お茶の葉は反り返り、ふくらみ、乾いた軽い音をさせ、香ばしく匂う。
土瓶にとり、あつい湯をそそぐと、弾いてしゅうっと鳴る。

幸田 文 「台所のおと」より

日本語を、これだけ美しく書ける人は、そうそういないのでは?と思います。
ちょっと、真似して番茶をあぶって飲んでみたくなりますね。