1/15/2008

縁というものは・・・




 


 瀟洒な衣装を纏った西洋の人形はもちろんなのですが、市松人形の優しい眼差しと、着物の古典柄、帯と重ねの組み合わせの面白さにも、深い魅力を感じている私。


今日は、和に関する縁で、最近あった素敵な出会いについて・・・。



 市松人形は本体を作ることはもちろんのことですが、作る醍醐味というのはむしろ、着物となる布を選び、八掛けや襦袢の布を合わせる楽しみにあるのではないでしょうか?(ちょっと、NHK「美の壷」みたいですが・・・)



 その楽しさを教えてくれた、私にとっては恩人のような方が、Nさん。



Nさんは、着物が縫えずに困っていた私に、縫い方をはじめ、着物には格というものがあること、裁つ時の柄合わせや、帯の合わせ方などをを手取り足取り教えて下さり、なんとか一人で縫えるようにして下さった方です。






 Nさんは70代。 とてもそう見えないほど若々しく美しいご婦人です。



そして、その美しさは外見だけのものではありません。常に周りの人達にさりげない心配りをされ、しばらくお会いしなかった時などは、必ず 「なっちゃん、元気にしてる?」 とお電話が・・・。


季節の美味しいものを贈ってくださったり、うちに来られる時は、私の喜ぶような古い帯などをお土産に持ってきてくださったりします。
でも、何より嬉しいのは、いつも私のことを心に掛けてくださること・・・本当に有難いと感じます。


そして、Nさんの素敵なところは、優しいだけではなく、ちゃんと私のだめなところを叱って下さるところです。



人に優しくするよりも、ちゃんと叱ること、面と向かって注意すること・・・それって、もっと難しいことではないでしょうか。 

「あぁ、ちゃんとしなきゃ!」 と、素直に反省できるのは、Nさんの優しさがそのお叱りの言葉の裏に隠れているのが、分かるからなのですね、きっと。





 もう1人、私に和の心を教えてくださる方、W氏。



この方に初めてお会いしたのは最近のこと。知り合いの画家の方の展覧会で、昨年の夏に受付のお手伝いをしていた時でした。



静かに絵を見ていらしたW氏が、帰り際に芳名帳に記帳される時、「私、この先生の絵を1枚持っているんです。」 と、話されたのがきっかけでした。



その話から、W氏が縮緬細工の工房をされていること、その工房が、レトロな建物として有名な、私の大好きなビルの1室にあるということ、そして私も市松人形を作っているということで、大変話が盛り上がり、その後工房にお邪魔したりして、私も縮緬のお細工ものを教えていただくことになりました。



後日、W氏は私の父と同い年、もう何冊も本を出されている、その世界では有名な方と知りました。

けれど、全くそういうことはおっしゃらない控え目な方です。



この嬉しい出会いのことは、早速Nさんへ、お電話でお話しました。





そして、先日驚くことに、偶然にも、NさんとW氏が出会われたのです!

その時にNさんは、私と知り合いだという話をされ、なんとも不思議な縁で、そしてそれぞれに別々の場所で3人が繋がったのです。



喜んで電話でこの出会いを話されるNさん、すっかりW氏の「ふんわりとしたやわらかい雰囲気」 に魅了されたということ。



でも、私はこのNさんとW氏にこそ、共通した「ふんわりとしたやわらかい」もの、厳しく、そしてそれを上回る優しさを感じるのです。





そんなこんなで、W氏の工房には来週からNさんと二人で通うことになりました(笑)。



この素敵な縁が、これからの私に、もっとたくさんのインスピレーションを湧き起こしてくれることでしょう。





 画像の作りかけの市松用の着物は、私の祖母の着物を解いたものを使っています。


2枚目写真の袖には、重ねを合わせています。



もう、92才になる祖母ですが、当時はこの着物を着て、ブイブイいわせていたのでしょうか(笑)?とても粋な着物です。