6/21/2009

人形が結んだ出会い その2




 

 HPやブログを通じて自分の人形を見ていただいたり、日々の暮らしを綴っていると、時々、メールをいただきます。

なんでもない日常にどこか共感して下さって、まだ行ったことの無い遠くの地からいただくメールもあり、送って下さった方と、その住まわれる場所に、想いを馳せることもしばしば・・・。

でもやはり、私の人形を気に入って送って下さるメールには、いただくたび、胸がいっぱいになります。


先日も、そんなメールをいただきました。

お話をお聞きすると、一人娘さんも無事大学を卒業され、立派に就職もされ、子育てを終えたご自分への記念として、ゆくゆくはお孫さんにまで伝えられるものを・・・と、私の人形を迎えたいとおっしゃって下さいました。


最近は、お人形を迎えていただくのも、「孫に・・・」と選ばれる方が多くなって来ました。

確かにビスクドールは、割らない限りは一生、いえ、もっと長い時間を、世代を超えて受け継ぐことの出来るものです。そうやって大切に残されたものが、現存のアンティークドールです。(そう思うと、手間はかかりますが、ビスクという素材で出来たこの人形は、スゴイですね!)


たまたま同じ府下の、比較的お近くにお住まいということで、直接に我が家に見に来ていただくこととなりました。

Nさまは、メールでの落ち着いた年上の方という印象とは違って、明るく活動的な雰囲気の方でした。

ご自宅のキャビネットの大きさもあり、小さめのお人形を・・・と、いろいろ見ていただいたのですが、最後に選ばれたのは、ロングフェイスジュモーの素朴な男の子。

お人形の好きな方は、ほとんどの方が女の子を望まれます。
私は女の子も好きですが、男の子も同じく大好きで、洋人形でも市松さんでも、女の子に負けず、男の子を作ってしまうことが多いのです。
・・・一体どうしてでしょう?
きっと、部屋に置いた時に、男の子は落ち着いた空間を演出してくれるからでしょうか?
衣装からも、もしかしたら女の子よりも飽きの来ないシックさがあるかもしれません。
もちろん、女の子の人形の華やぎも魅力的で、それぞれに良さがあり、どちらかなんて、到底選べませんが!

Nさまも、「絶対に女の子!!」と思って来られ、まさか男の子を連れて帰るなんて、夢にもお思いにならなかったそうです。

 選ばれたジュモーは、ロングフェイスならではの優しさとあどけない表情の可愛らしい人形なので、この先ドレスを着せて女の子となることも十分可能です。


 お茶を片手に、Nさまといろんなお話を楽しませていただきました。

なかでもビックリしたのは、お嬢さんが乗馬で、最近日本一になられたということ!
小さい頃から乗馬一筋で、今も馬と接するお仕事に就かれたということで、そうやってご自分の夢を叶えられたことに、これまでの長い期間の努力が思われ、じんと心が・・・・・・。

またNさまも、とても気遣いの溢れる、素敵な方でした。
その日初めてお会いした気がせず、お友達のように笑い声の絶えない時間を過ごさせていただきました。

 割れないように梱包した人形を連れて、帰られた後、部屋に戻り、ふと思いました。

あのロングフェイスは、もともとヴァイオリンを持たせていたのですが、なんだか、木馬の方が似合っているかも・・・あの衣装もブーツも、なんだか乗馬服みたいだったかな?なんて・・・(笑)。

人形というのは本当に不思議です。必ず、自分にぴったりの、そして心から大切に迎えて下さる家に行くようになっているのですから。

お婿入り(!)したロングフェイスの衣装は、ざっくりしたインポートのシルク地。胸には、母が刺してくれた刺繍のBの文字。
ブーツも、衣装と同じ、茶色とグレーの皮を使って作りました。

Nさまからの、「我が家の息子」という言葉に、嬉しい気持ちで満たされた日。