9/27/2009

リストの夜




 昨夜は、久しぶりに演奏会に出かけました。

場所は京都アルティ、演奏者は中野慶理先生。(餅は餅屋で、こちらにパートナーの感想があります。)

中野先生の演奏会を聴かせていただくのは、4度目です。
同じピアノから、どうしてこんなに美しい音が出るのだろう・・・と毎回感動させられるのですが、今回はYMCA企画のチャリティーコンサートとあり、曲目もショパンから始まり、ベートーヴェン、スクリャービン、チャイコフスキー、リストと多彩で、とても楽しい夜でした。

実は、最近までリスト(殊に、メフィストワルツ)が苦手だった私。
演奏会で聴くリストはいつも、演奏者が音楽を楽しむ余裕も無く、ただ必死で弾いている・・・というものがほとんどで、リスト=しんどい音楽 という固定観念が長い間、拭えませんでした。
それが、「あ、リストってこんなに楽しいんだ!」と初めて思わせてくれたのは、以前聴いた萬谷衣里さんのハンガリー狂詩曲 第2番 。 引き込まれて聴いてしまった演奏でした。(萬谷さんの、ショスタコーヴィチも素敵です。)

昨夜の「メフィストワルツ・村の居酒屋の踊り」も、もう、本当に素晴らしかったです。
あのいつも長々と感じられる曲が、冒頭から最後まで、躍動感溢れ、かと思えばうっとりしたり、緊張したり・・・物語の様々な場面が浮かんで来て、あっという間でした。 そうそう、初めて「居酒屋感」も味わいました(笑)!

チャリティコンサートということもあり、世界中の人々に慰めを・・・とおっしゃって、弾き始められたアンコール、リストの「慰め・第三番」 は、天から音が一音一音降ってくるかのようで、涙が出そうになりました。
自分が清められていくような・・・教会の中にいるような荘厳で限りなく優しい気分に・・・。

良いものに触れることは、それが何であれ、本当に心が豊かになります。
それは、自分を戒めると共に、高めさせもします。
中野先生の、「自分のようなものが・・・」と何度もこの舞台に立てたことに感謝される言葉にも、心打たれました。音楽を深く愛することと謙虚なお気持ちが、あそこまでの音色を作られたんでしょうね・・・。
素晴らしいピアノの音色に、一杯に満たされた一夜でした!

画像は、演奏会前にぶらりと散歩した、御所の風景。木々が色づく頃に、また来たいです。