10/20/2009

絹の音



 昨夜、布団の中での読書中、「絹を裂いたような悲鳴」というくだりがあり、「おぉっ!」と思いました。
何故「おぉっ!」となってしまったかというと、すぐにその音が浮かび、ぴったりの表現だと感じたからなのですが、今の時代、「絹を裂く音」を聞いたことがある人は、少ないのではないでしょうか?

人形の衣装には、洋人形も和人形も絹地を用いますので、私はたまたま、その音をよく知っています。

古い着物の、縮緬と裏地の紅絹を裂いて解くときにも必ずその音を聞きますし、生地屋さんでも、年配の店員さんなら、少しだけチョンと鋏を入れ、その後慣れた手つきで裂いてくれます。

まさに絹ならではの音なのですが、言葉にしようとすると形容し難い・・・やっぱり、女の人の悲鳴というのが、上手く言い表しているなぁ、と思いました。


日々、絹を扱うには、私の手はがさがさと潤いが無く、もう今の季節からあかぎれが出来ています。
皮膚科で薬を出してもらっても、何度か通ううちにお医者さんから 「あなた、布か紙を扱う仕事をしてるんじゃない?」と言い当てられてしまいました。
1日中、薬を塗るように指導されても、薬を塗ると、絹の生地に油分がついてしまうので、日中は薬をサボってしまうのです。鋭いお医者さんに、脱帽でございます。

そんな私の、今触れている絹の布地・・・しばらく忙しく、なかなか取りかかれませんでしたが、やっと進行中のブレベテの衣装。
まだ、袖も付いていませんが、自分の中でだいぶ路線が見えて来ました。
これから並行して帽子や靴(今履かせているのは、仮のもの)を作り、イメージを膨らませて行く楽しい時間が待っています・・・。


最後に・・・今日、クッキー屋さんで母がもらってきた、ハロウィンのおまけ。
かわいいうさぎのクッキーを見て、なんだか子供のように嬉しくなって、心がなごみました。