3/14/2010

美しさとは・・・

 ・・・今更ですが

人の美しさに心を動かされる時、
それは見た目や 着ているものの豪華さではなく、
その人の所作に惹かれるのではないかな、と思います。

いくら見た目に美しく着飾っていても、
それが所作に表れていなくては、魅力は半減してしまいます。

所作の美しさ、殊に心配りに溢れたそれを目にした時、深く感じ入るのは、
その人の心の佇まいが映し出されるからではないでしょうか・・・。

最近、そういうことをよく思います。

そして
そういう心を持つには、
まずはこの荒れた部屋を掃除せねばと思うのです(恥)。
「忙しい!」というのを理由にしてはいけませんね。



ところで、先日図書館から借りて来た本は、
どれもなかなか面白いものばかりでしたが、
久しぶりに、
手元にずっと置いておきたいと思える特別な本に出会いました。

幸田文の「きもの」という長編小説です。


学校から帰って袴をぬぐと、同時に割烹着をつけた。
母の着ていたものである。
一つは白で、これは既製品を買ったもの。
あとの二つは手製の紺絣だった。
中略
白はきれいすぎて、手置きが面倒くさかった。
あまりに汚れに弱い。
紺絣はそこが強い。
地の黒い部分は、汚れをさりげなくかばうが、
絣の白い部分はどれだけ汚れたかをかくしはしない。
不潔にならない程度に汚れを沈めてみせる、紺絣の強さを
るつ子は知った。

幸田文 「きもの」より

地味な紺絣の割烹着について書かれた部分ですが、
その表現の美しさに、何度も読み返してしまった
私の一番好きなくだりです。


この小さな文庫本に溢れる、色彩や布の感触、衣擦れの音・・・
そして、
文学ならではの、3姉妹が登場しますが、
私が一番カッコイイ!とシビれたのは、3姉妹を見守るおばあさん。
こんなおばあさんになりたいものだと、心底思うのです。

このおばあさんは、裕福ではありませんが、
とにかくとても粋な人です。
その台詞だけで、所作の美しさも感じ取ることが出来ます。


読了記録
「きもの」 幸田 文 (図書館の本)