「五月のそよ風をゼリーにして持って来て下さい・・・。」
詩人・立原道造が、死の床で囁いたと言われる言葉。
今から74年前のことです。享年24歳。
その言葉がなんとも印象的で、心の隅で
いつかゆっくり読んでみたいと思っていました。
数日前、楽天より
6月末期限のポイントがあるとメールがあり、
何に使おうかと考えていましたが、
そうだ!あれにしよう!と思いついたのがこの文庫本。
今日届いたばかりです。
道造が、 かの「五月のゼリー」の台詞を囁いた相手と言われるのが
この水戸部アサイさん。
当時は19歳、
美しさの奥に思慮深さを感じる、魅力的な女性です。
アサイさんは道造を看取った後、全ての交友を絶ち、
忽然と姿を消してしまったのだそう。
あれこれ推測しても、誰にもその真意は分からないでしょうし、
そっとしておきたいものも、この世にはありますね・・・。
道造がアサイさんとの新生活を夢見て
構想していた新居。
ヒアシンスハウスと名付けられたこの建物は
没後65年にして、さいたま市に建てられました。
直筆のこの図面は、コロナブックスの「作家の家」より。
貧乏な天使が小鳥に変装する
枝にきて それはうたふ
わざとたのしい唄を
すると庭がだまされて小さな薔薇の花をつける
(「一日は・・・」より)
みずみずしい感性に包まれたまま、逝ってしまった道造の
ささやかな夢の結晶が見られそうで、
いつか機会があれば出かけてみたい場所です。