6/30/2013

ヒアシンスハウス


 「五月のそよ風をゼリーにして持って来て下さい・・・。」

詩人・立原道造が、死の床で囁いたと言われる言葉。
 今から74年前のことです。享年24歳。

その言葉がなんとも印象的で、心の隅で
いつかゆっくり読んでみたいと思っていました。
 


数日前、楽天より
6月末期限のポイントがあるとメールがあり、
何に使おうかと考えていましたが、
そうだ!あれにしよう!と思いついたのがこの文庫本。

 今日届いたばかりです。


 道造が、 かの「五月のゼリー」の台詞を囁いた相手と言われるのが
この水戸部アサイさん。

当時は19歳、
美しさの奥に思慮深さを感じる、魅力的な女性です。


 アサイさんは道造を看取った後、全ての交友を絶ち、
忽然と姿を消してしまったのだそう。

あれこれ推測しても、誰にもその真意は分からないでしょうし、
そっとしておきたいものも、この世にはありますね・・・。




 道造がアサイさんとの新生活を夢見て
構想していた新居。

ヒアシンスハウスと名付けられたこの建物は
没後65年にして、さいたま市に建てられました。

 直筆のこの図面は、コロナブックスの「作家の家」より。


 


貧乏な天使が小鳥に変装する

枝にきて それはうたふ

わざとたのしい唄を

すると庭がだまされて小さな薔薇の花をつける

(「一日は・・・」より)



みずみずしい感性に包まれたまま、逝ってしまった道造の
ささやかな夢の結晶が見られそうで、
いつか機会があれば出かけてみたい場所です。