11/17/2017

パオラとヴィンセント


 この子達を作ったのは、2008年。
もう10年近く前です。

我が家に長く居すぎて、もうどこかに行くなんてことはないだろうと
仕事部屋のいつもの棚に、ちょこんと座ったまま
人形を作り、おやつを食べ、また人形を作るという
私の他愛無い日常を見続けていたのでした。

そんな二人に大事件が!
女の子に「我が家にきませんか?」との申し出があったのです。




女の子と男の子は仲良しですから、二人は悩みました。
すると不思議なことが。
新しいお家のママが、男の子のことも気になって下さったのです。
二人は同じ箱にとび込みました!
新しいお家へ運んでくれる魔法の箱の中で
乗り物に揺られながらも、少しだけ不安な気分。

大丈夫かなぁ・・・。
好きになってもらえるかしら?





 新しいお家に着いた夜、箱から取り出された二人には
優しいパパとママの笑顔が待っていました。

 「本当のお家ができた!!」







パパは早速、二人に特別な贈り物をしました。
それは、この世に生まれて、長い間二人が持っていなかったもの。
そして、ずっと憧れていたもの。

女の子には「パオラ」 男の子には「ヴィンセント」

これ以上、素敵なことはありません。


 今回、こんな古くに作った子が 旅立つことになりました。
今でも修行の身ですが、10年前となるとほんと、更に拙いのです!

お譲りしてよいものかと葛藤もありましたが、
「お宅で長く大切にされた子を、そのままで・・・」とのお言葉に
なんだか本当に胸が熱くなってしまいました。

 人形は、長く残るものです。
それだけに、作り手は肝に銘じて丁寧に向き合わなければならないと
改めて感じました。

 皆さまから教えていただくこと、本当に多いのです・・・。